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「……しょっぱい」
「なに、してるの、もお」
俺の両手に顔を固定され、動けなくなってる華緒梨の真っ赤な顔を見ていて、ハハッと笑ってしまった。
「何、泣くようなこと書いてたっけ?」
「何言ってるの」
「いや、あまり自覚はないんだけど……」
「ホントに!?」
「うん。下書きっていうか、ガシガシ修整入れられるつもりで完成優先で書いたから、わりと雑っていうか……」
「嘘でしょ……」
ホント、とささやきながらもう片方の瞳が濡れているのも舌先で拭う。
あったかくてしょっぱいその味に、やっぱりちょっとイケナイ気分になる。
華緒梨はそのまま俺の身体に重心を預けながらひっく、としゃくり上げた。
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