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「主人公の女の人の、心の中が渇いて仕方ない感じ、すごくよく判るって、思って……」
「華緒梨は、あんなビッチじゃないだろ」
クスッと笑いながら、自分が書いたことをふわっと思い出す。
「そうだけど、でも、あたしだって……女だもん」
ちょっと背伸びしたようなその言葉が、書き上げたことでへとへとな俺の胸に妙に染みる。
そう。とりあえず今回書きたかったのは、女。
俺が書いたのは、相思相愛の恋人がいながらも恋愛中のあらゆる不安や不満に耐え切れず、色んな男と関係してしまう女の話だった。
華緒梨を見ながら、じっくり考えてできた女キャラクターだった。
華緒梨が、寂しいとかいう理由で男友達を食うようなタイプじゃないことは判っている。
これは物語上不可欠な演出ってやつだけど、でも、なんと言うか“惜しい女”っていうのが現実にもたくさんいると思う。
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