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誰かの胸の中に具体的な人物が思い浮かんだなら、その時点で俺の書いたヒロインの存在はもう仮想の域を超えてると思う。
こんな感覚は正直初めてで、やりきった感があった。
「あたしだって……」
「うん?」
「あたしだって、不安な時、あるもん」
「知ってるよ」
「言いたいこと、めちゃくちゃたくさんで、胸がいっぱいな時だって……」
「うん」
「でも……」
すり……と、華緒梨が更に身体をすり寄せてくる。
小さい猫みたいだな、と思った。
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