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「でも、そんなのもうどうでもいいから、ひどいこと言ったりしたりする前に、とりあえずこの口を塞いで、ギュッてして、って時もあるもん……」
「……知ってる」
「もう、馬鹿。嘘つき」
「?」
「今が、そうなの。読んでて、途中までずっと気分が悪かった。あたしはあのヒロインみたいに人を試したり裏切ったりしたくない。岳さんのこと、好きなの。岳さんから逃げ出すくらいなら、岳さんの前で泣いたりわめいたりしたい。そう言ってるの!」
華緒梨が全部言い終わるのを待って、真上から彼女の口唇を塞いだ。
間近で覗き込むまだ赤い瞳にまだ涙が滲んで、そこに華緒梨の中の反抗心を見る。
「……エロかったから、触発された?」
「そうじゃ、ないけど……ッ」
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