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神保さんに怒られた時は、「そういうもんか」って軽く受け流していたんだと自覚する。
あの監督は、本当に俺の為を思ってこの名刺を用意してくれたというのに──。
……本当に、華緒梨を通して全ての重みや真実味が俺にのしかかる。
でも、それに足を取られなくていい。
判ったなら、そこから生き様を改めて──ありのままを見ていってもらえたら。
俺に何かを期待して、理解できるかどうかも判らない謎かけをしてくれるような大きな懐の人なら、きっと判ってくれる筈だから。
もちろん、何もせずに自分のことに没頭しようなんて思ってない。
あの監督には、銀二にもう一度渡りをつけてもらって── “12月の空蝉”の 発行部数が50万を越えたことへの感謝と還元とか何とか言って、まずは食事にでもご招待しなければ。
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