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「えっ?」
「やる」
「えっ、どうして? 大事なものなんでしょう?」
驚いて目を見開いた華緒梨の顔を見ながら、ちくり、と罪悪感が疼く。
その正体にはちょっと目を瞑っておくことにして──。
「華緒梨が持っててくれた方が嬉しい。それに、俺らのどっちが持ってても同じことだろ」
心からの本音を、付け加えた。
すると、華緒梨の顔が見る見るうちに最高の笑顔になる。
「……ホント、に?」
「ん。俺だと失くす怖れもあると言うか、なんと言うか……」
「失くさない! あたし、絶対失くさないから!!」
バッグを反対側に置きなおし、華緒梨はささっと俺の傍まで寄ってきた。
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