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見る側は、どんなくだらないことでも常に知りたいと思っている。
俳優の恋愛事情、アイドルの男遍歴……少し昔まではそれを知る人間達が生ぬるく見守って、口を閉ざしていたと思うのに、「暴く」「暴かれる」ということが極端に多い気がする。
今は個人が簡単に世界中に向かって発言が出来る。
それがどういうことかも判らないで、守ってやるべき他人の秘密や尊厳を笑いながら踏み荒らす人間が多い。
火のないところにも煙が立つんだ、ということをいやと言うほど自覚させられた。
今のところ、俺が関係してきた智美以外の人間が、過去のことを持ち出さないこの幸運に感謝するしかない。
真面目に生きよう、と心に固く誓った。
保身の為じゃない。華緒梨の為にも。俺達に関わってくれている他の誰かの為にも──だ。
大事な人間が出来るだけで、人間はまっさらに生まれ変われるんだと思う。
その尊さを、俺は口で言うんなく本に書いていかないといけないな──と、今さらながら気が付いた。
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