終章・あしたも、あさっても。

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   携帯をしまいつつ、あたしはオートロックを開ける岳さんの後ろに続いた。 「ねえ、お父さん、何だって?」  すると、岳さんはふっと肩を揺らして笑い出す。 「要さんも、ネット書店張ってたんだと。華緒梨と同じページ見てたみたいで、今見つけたって。出版おめでとうって言われた」 「それだけ?」 「うん。本が届いたら、サインして1冊ずつくれって」 「は? 何、それ。図々しい」  お父さんに文句を言ってやろうと携帯を取り出そうとすると、岳さんは肩を震わせながらあたしの手を止めた。 「いいって。どうせ俺の知り合いはみんな買ってくれてるし、いつも余らせてるし。今後は要さんに毎回送ろうとは思ってたし」 「でも……」 .
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