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あたしのささやかな疑問に岳さんはそう答えて、休み休み原稿をチェックしている。
ぱらぱらと原稿を見てみると、紙の上で岳さんは織部さんや翠川さんと結構なやり合いをしている。
「ここの行動はいらないんじゃない」という織部さんの赤ボールペンのツッコミに、岳さんはまた違う赤ペンで「220ページ見ましたか? 同じ文章挟んでる理由、ありますよ」と返している。
……こうしたやりとりを見ていると、いつもはさらっと読んでしまえる物語の中にも、やっぱり作者さんの色んな思惑や技術が潜んでいるものなんだなっていうのは、判るけど。
本をハイって渡されて、綺麗に整理された文章の中からそれを拾えと言われても、絶対判らない。
文章を書くだけなら誰でも出来るけど、限られた文字と言葉を使って、その人にしか書けないものを紡いでいく。
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