終章・あしたも、あさっても。-4

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  「ね、ね、奥の席の。なんだっけ。小説家じゃなかったっけ」 「えー、あたしは中年の方知ってる。会社に置いてあった経済誌で見た」  すれ違いざま、思い切り振り返ってしまいそうになったけど、何とか堪えた。  ……お父さんも岳さんも、本当に目立つんだなぁ……。  目立つ2人が同じテーブルについているんだから、そりゃ目に留まりもするか。  地味っコ代表のようなあたしがテーブルに戻れば、少しは緩和されるだろうか……なんて自分で言っててちょっと悲しくなる。  岳さんとお父さんのいるテーブルに向かいながら、思わずドキッとしてしまった。  2人はあたしには気付かず、笑いながら話をしている。  お父さんが明るい表情で何か言うと、岳さんはぷっと吹き出した。  そんな岳さんの頭にお父さんの手が伸ばされて、ぐしゃぐしゃにかき回している。 .
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