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ずっと──ずっとずっと忘れてた……!
頭の中に、蝉の声がわんわんと鳴り響く。
その鳴き声はあたしの頭の中でグルグルと螺旋のように回って、その中心にあるものを引っ張り出していく。
どうして忘れてたかって──。
「岳さんのバカ!」
思わず、一番最初にそれが口をついて出た。
「……っ、は……?」
開口一番にそんなことを言われたショックか、岳さんは目を見開いて固まった。
あたしだって自分の言葉のチョイスがちょっと大袈裟だな、というのは判っているんだけど……。
「岳さんのことがあったから! それで一度お別れしちゃったから! もう、すっかり頭から抜けてた、忘れてたよ!」
「俺のことって……」
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