終章・あしたも、あさっても。-4

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  「……どうしたんだ」  待ち合わせていたレストランで、あたしを見たお父さんは目を丸くしていた。  理由は簡単だ。  アイメイクがすっかり落ちてしまっていた上、真っ赤に腫れ上がっていたから。 「な、何でもない……」  そう答えながらも、あたしはまだ鼻をぐすぐす鳴らしていた。  隣にいる岳さんは、すっかり脱力している。  岳さんとあたしを何度か見比べて、喧嘩じゃないことを悟ったらしいお父さんは、「とりあえず化粧室で少し直してこい」と苦笑した。  岳さんとお父さんを2人にすることを躊躇していると、お父さんは肩を竦める。 「別に、岳くんに事情聴取したりしないから。オーダーも待っててもらうから、慌てないで行きなさい」 .
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