終章・あしたも、あさっても。-4

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   記憶力のいいこの人のことだ。  忘れていたにしても、忘れっぱなしということはほとんどない筈──……。 「そうしたらゆりがあのブログのことを教えてくれて、何が何だか判らないうちにお別れしたことになってて……」 「ああ、はいはい……」  岳さんも、本気で今思い出したようだった。  岳さんはちょっと難しい顔をしながらあたしに向き直り、黙って両手を取った。 「覚えてる、覚えてるよ。華緒梨があの時何を訊きたかったか、ってこと」 「宮下先輩……」 「ああ、そう。それそれ」  仏頂面の岳さんは、たぶん照れくさがっている。それは判るんだけど。 .
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