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記憶力のいいこの人のことだ。
忘れていたにしても、忘れっぱなしということはほとんどない筈──……。
「そうしたらゆりがあのブログのことを教えてくれて、何が何だか判らないうちにお別れしたことになってて……」
「ああ、はいはい……」
岳さんも、本気で今思い出したようだった。
岳さんはちょっと難しい顔をしながらあたしに向き直り、黙って両手を取った。
「覚えてる、覚えてるよ。華緒梨があの時何を訊きたかったか、ってこと」
「宮下先輩……」
「ああ、そう。それそれ」
仏頂面の岳さんは、たぶん照れくさがっている。それは判るんだけど。
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