終章・あしたも、あさっても。-4

22/33
前へ
/33ページ
次へ
  「ハンカチをくれたのが3年近く前のことでしょ? 宮下先輩があたしのことを話してて、殴ったのが去年の春」 「……そうですね。で、俺達が再会したのは今年、夏前」 「宮下先輩を殴った理由、なんだったの? あたしのことって判って、そうしたの?」  あの時は口に出すのが難しかった言葉が、スラスラと出てきた。  自分でそれにびっくりしつつ、今は本当に彼のことを信頼しきっているんだなぁ……と改めて自覚した。  すると岳さんはあたしの両手を取ったまま思い切り顔を背け、眉根を寄せている。  どう言ったものか……と思案しているだけにしては、重々しい感じだ。 「岳さん?」  急かしているわけではなく、どうしたのか本当に気になった。  岳さんはちら……と横目であたしの顔を確認すると、やがて諦めたように溜め息をつく。 .
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加