232人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あの時、話そうって決めてたしな。判った。今更宮下とかいうヤツなんてどうでもいいけど、種明かしする」
「うん」
岳さんはもう一度正面からあたしの顔を見た。
握っている指先が、甘えてくるように手のひらを下からくすぐる。
「……お前さ、斎藤って覚えてる?」
「斎藤……?」
いきなりそれだけ言われても、と思ったけど。
すぐに思い出した。
「星林学園の、高等部の若い先生……?」
「おー、覚えてるか」
「覚えてるも何も、あたしの同級生のマミちゃんと去年電撃結婚したって……」
言いながら、ハッと岳さんの顔を見上げた。
.
最初のコメントを投稿しよう!