終章・あしたも、あさっても。-4

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   でも、よく考えたら、あたし、岳さんにプロポーズはされてなくって。  予約はしてもらったけど、その時充分嬉しかったし感動したし……ふたりで話して、授かった命はちゃんとこの世に産んであげようって話も、ちゃんとした。  だから、結婚は必要なこと、って頭にあって……改めてそういう言葉をもらいたいとか、そういうことは全然気にしなかったんだ。  せー兄ちゃん達やお父さんに結婚したいと思ってる、ってことを伝えた時にも、赤ちゃんのことを守ることしか頭になかったから。  でも、岳さんはそうじゃなかったらしい。  ここに来る途中のバスの中で、バッグからこの本を取り出した岳さんが「帰ってからにしろよ……」とやんわり止めてはくれたんだけど。 .
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