Epilogue

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  「うわあ、淡い虹……!」  岳さんに言われなければ、気付かないくらいのうっすらとした虹。  何気なく窓の外を見上げただけでは意識の中に入り込んでこなかったかも知れない。  だけどそれを見た瞬間、わけなく胸の中がほわっとあたたかくなった。 「雨、降ってても見えることあるんだな。真夏の水しぶきみたいだ」 「水しぶき?」 「ほら、水まくのにホース使ってさ。指先でホースの先つぶして、ゆったり水まいてたら虹ができることあるだろ。あんな感じ」 「ああ……」  その言葉で、一瞬で浮かんだ。  真夏の太陽のキラキラした感じ。真っ青な空の下で、水しぶきが上がって、虹が生まれる。 .
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