Epilogue

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   しとしとと、雨だれの音が心地いい。  静けさと穏やかさを演出してくれるその音をじっと聴きながら、窓辺であったかい生姜湯をちびちび飲んでいた。  岳さん経由で織部さんが差し入れてくれたもので、関西で言うところの“冷やし飴”のあったかいバージョンで“飴湯”という飲み物に近いらしい。  飴を溶いていてとろみがついているから、冷めにくいしおいしい。  織部さんには大阪出身の知り合いがいるらしく、長く付き合っているうちに関西の文化に自然と詳しくなってしまったそうだ。  そんなことを思い返しながら、またコクン……と一口飲んだ。  人と人って、なんだか不思議だなぁ。  織部さんが大阪の文化に自然と詳しくなる、ってこともそうだけど。 .
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