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集中して書いている時の岳さんの尖った瞳が、すごく好き。
創作っていうのは自分との戦争みたいなものなのよ……という織部さんの言葉を思い出した。
作家さんを旦那様に持つ織部さんの言葉は、すっと胸に落ちてくる。
岳さんはいつも優しいけど──ひょっとしたら、人間の持っている残酷な部分や悲しい部分を、こうしてここで使っているからなのかも知れない。
「物書きは人でなしだよ」って岳さんは笑って言うけど。
そういう部分を直接人に向けないっていうのは、やっぱり優しい人のすることだと、あたしは思う。
すると、岳さんがはー……とすごく深い溜め息をついた。
ヘッドフォンをしているから、ひとつひとつの動作や声が大きくて、思わずふっと笑ってしまう。
秋前から用意してきた作品は、もう間もなく発売になるけれど、岳さんはもう次の作品のことを考えている。
仕事熱心といえばそうなんだろうけど、ちょっと違うような気もする。
岳さんを見ていると、思うもの。
自分が見たこと、感じたことをいったん身体の中に収めて──そして、寝かせて熟成させてから、身体の外に“書く”っていう形でまた放出する。
そんなの、普通の人にはなかなかできない。
他の小説家さんを知ってるわけではないけど、自分の心の中で起きていることを描き出そうとする。
そういうことができる人って、実は少なかったりするんじゃないのかな。書いている人の中でも。
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