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「ふ、ふざけんな! そうやって俺たちの自由を奪って何が楽しい、あんたがやってんのは独裁と変わりねーよ!」
「これはお前たちのためを思ってしていることだ、どうしてそれがわからない!」
「俺はこんなの望んじゃいない、あんたの理想に巻き込むな!」
しんと、ツバメが吠えて静まった。鷹夫はのどの奥にものでも詰まったような顔をする。ツバメの双眸は自分のそれをしっかりと捕らえて視線を逸らすことを許さない。
「お、俺は……」
言葉をなんとか絞り出し、ツバメに対峙しようとする。しかし後に続く言葉が見つからない。
『台本』制度を作ったのは他ならぬ俺だ。俺が俺の理想に従って俺の意思で作った。それは「自由」を代償に「平和」を約束する制度。鷹夫はまた逡巡する。
俺がしていることは果たして――。
「ツバメ、お父さんに謝りなさい!」
と、その声で迷路から戻される。鶴江だった。
鶴江は目尻に涙を浮かべ叫ぶように訴えていた。
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