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「なんだよ、俺が悪いって言うのかよ……。狂ってるよあんたら」
ははは、と苦笑する。それはいっそ諦めたかのような目であった。何に諦めたのだろう。『台本』制度から逃れることであろうか、それとも、親、であろうか。
「こんな家に産まれてきたことが間違いだってことが今確信できたよ」
ツバメがそう言ったとき、鷹夫がはっきりと傷つく顔をした。そのことには構わない。構うものか。ツバメは傷つけるために言葉を吐く。殺すために作られたナイフのように鋭い言葉を。
「俺はあんたらを親だなんて認めない」
「ツ、ツバメ、あなた何を言ってるの! あなたを育てたのが一体誰なのか――」
「あんたらが勝手に産んだだけで俺は一言も頼んじゃいない。どうせあんたらが夜な夜な腰振ってたらできただけだろ? それでもおろさなかったんだ。産んだら育てる。当然の義務だろ、それをさも自分の手柄のようにして何言ってんだ?」
「あなたはっ……!」
と、鶴江はツバメの正面までずかずかと歩き、右手が挙がる。
平手が飛んでくる、そう思った。
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