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2013年8月29日木曜日17時
広告局ネット番組営業部の定例会議である。しかし俺の頭の中には、今日の夜
の美雪のことでいっぱいだ。会議どころではない。美雪から
「話がある」
と言われて以来、いろんな思いをめぐらしてきたが、答えは出ない。
今日は、青山のイタリアンを19時半からブッキングしてあるが、そのあとの
展開は考えていない。もしかしたら、今日が最後かもしれないのだ。。
部員たちの緩慢な報告が続いている。会話が成立しているのは、統括と、その担当だけだ。
すでに開始から2時間が経っている。このペースだと19時半にはギリギリ
間に合わない。
木曜会議は、通称「責め会」と言って、どの企業に、どの番組を売ったろのかを
一人ずつ計15人に延々聞き続けるのだ。この8月末は10月改編の
レギュラー提供社の提供を継続するかどうかのチェックをする時期なので、
4月改編期とともに、番組営業の最も重要な時期である。
4月改編の「春場所」とならび通称「秋場所」と言われている。どのテレビ局も
改編期は同じなので、テレビ局・広告代理店・提供企業が一体となって
「本場所」での番組の新規決定・降板を繰り広げるのだ。
たとえば、A局のB番組を提供していたCスポンサーが、B番組が視聴率低下
してきたため、提供を降りD局のE番組に乗り換える、といったことがざらに
行われる。
月の提供料はゴールデンタイムの視聴率10%くらいの番組で大体1500万
?2000万円くらいが相場なので、半年単位だと実に1億の取引になるのだ。
なので、各テレビ局の番組営業担当は、昼夜を問わず、時に朝駆けもしつつ、
企業や代理店と虚々実々の駆け引きを展開するのである。
ちなみに、わが関東放送の視聴率は開局以来30年、民放5局中5位。
最近は4位の首都テレビとの差は詰めてきてはいるが、それでも上位3局とは
大きく離されている。最近は
「番外地」
とは言われなくなり
「2弱」
の一員となった、とされている。3強2弱体制である。
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