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毎週火曜午前中は、社長御前会議と言われる「局長討論会」が定例で行われる。
実際は、討論会とは名ばかりで、1週間の売上進捗やトピックスなどを簡単に
報告する。10人の報告で、ほぼ30分以内に終わる。
しかし、竹下の足取りは重かった。先週社長に夏美との関係を指摘されてから
初めての会議だ。会議には、夏美も出席するし、イノーマンも出席する。
夏休み明けで、3週間ぶりの開催のため報告事項も溜まっている。
それよりも、その二人が出席しているという事実が、ますます竹下の心に
重くのしかかかった。
「おはようございます。」
社長執務室に続々と集まった局長たちが次々と挨拶を交わす。夏休み明けで、
真っ黒に日焼けしている者、大声で笑っている者など、いつもどおりの雰囲気だ。
竹下は、夏美とはいつもどおり、軽い会釈のみの挨拶だったが、
伊能には無視された。
竹下を無視したまま自席に向かう伊能の背中を、強い視線で夏美が睨みつけていることを、竹下は気づかなかった。
「続いて、イベント事業局長お願いいたします。」
進行役の社長室長が、竹下を指名した。
竹下は、夏休み中開催された「白亜紀・化石展」の他、2つほどのイベントの状況を説明した。
「白亜紀・化石展」は、夏休みの子供達向けの、恐竜イベントで、イベント事業局では今年最大のイベントで社全体にも協力を仰ぎ、利益拡大に努めていた。
ところが、会場が木更津と遠かったことと、価格設定が子供3,000円と割高であったことが裏目に出て、収支は悪化。
利益目標は2億!と大見得を切ったラインから実に3億も下回り、
採算ラインからも1億ショートしている。
最終日まで、残り1週間ではとても取り返せる額ではない。
社を挙げたイベントで、赤字を出してしまうのだ。
今日はその中間報告をせねばならない。
通常でも報告したくない事項であるが、今日は特に気が重い。
報道局長の伊能にどう責められるか・・・
「以上、イベント事業局の報告でしたが、なにかご質問ございますか?」
進行役の言葉が終わらないうちに、伊能が、怒声を発した。
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