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彼女はそう語り、明るく笑った。ただひたすら見つめてくる僕が髪の色が珍しくて見ていたのだと勘違いしてくれたらしい。嬉しい勘違いだ。それにしても・・・
「白くなった?」
染めたでもウィッグでもなく自然に?と僕が問いかける前に彼女が口を開いた。
「うん。でも私白好きだから」
彼女は笑った。良く笑う女性だと会って数分ながら思った。この笑顔をずっと見ていたいとか思った僕は完璧に末期だ。お前末期だなとか侮辱したクラスメイト達。僕も仲間入りだ。
「隣座っていい?」
自然と口から出ていた。彼女は僕の問いに嫌な顔一つせず、「どうぞ」と少し端に寄ってくれた。僕は彼女の隣に座り、重ねて問う。
「ここで何をしてるの?」
「この世界を見てたの!」
あまりにもハッキリと言われ、僕はツッコミを入れる気も起きなかった。僕的に訳せば、この景色を見ていたというところだろう。だが、彼女が言うと本当にそれほど壮大なものを見ているような気になるから不思議だ。
「何が見えた?」
「家と空と子供達とお母さんと・・・」
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