3人が本棚に入れています
本棚に追加
「確かに・・・。では、私があなた方、海賊の味方であるという証拠をお見せします」
桃太郎はそう言うと、ついさっき、船で仕留めたお供の動物達を門番に見せつけた。
「何だ。それは」
「何も、持たずに、海賊のところにいくのは無礼だと思いまして、お土産でございます。私、こう見えても料理は得意なのです。海賊の味方であるという証拠として、この手土産を使って酒の肴でもつくってみせます」
酒の肴と聞いて思わず、門番は顔をほころばせた。
「本当か?実を言うとな。料理がまともにできる奴がいなくて困っていたんだ。だから、いつも同じような肴で飽き飽きしていたところなんだ。お前が、旨い肴をつくれたら、俺達の仲間に入れてやろう。だが、まずい肴をつくようだったら、お前のきぐるみを全部、ひっぱがして、殺すからな!」
「分かっています」
桃太郎は料理には自信があった。元々、お爺さんとお婆さんの元で料理を作らされていた。だから、料理が不慣れな海賊達より、ずっと旨い肴を作れる自信があるのだ。
桃太郎を迎え入れた海賊達は上機嫌だった。自分達では作れない酒の肴や料理が次々と出され、それを食べては舌鼓をうった。村から奪ってきた酒も進む。
進みに進み。酒が空っぽになった頃、海賊は全員、何も言わずに死んでいた。
「バカな奴らめ」
桃太郎は死んだ海賊を嘲笑った。
海賊のスキを見て、調理をしながら酒に忍ばせておいた毒が回ったのだ。いくら、強いといっても毒には勝てなかった。酒が進み、酔っ払っていくうちに毒が身体にまわった。いつもと、違う感じがしても酔ったせいだと思い、苦しみもせずに死んだ。
海賊が苦しむ姿を見られなかったのは残念ではあったが、桃太郎は死んだ海賊をどかすと、奥に隠してあった村の金銀財宝を全て船へと積み込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!