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ああ。
神様。
ひとつだけ我儘を言ってもいいですか。
今、ここで、こいつを殺す権利を与えてください。
悔し過ぎると、悲し過ぎると、呆れて涙も出ないんだ。
さえない灰色のビルを後にして、それよりもっとさえない俺はアスファルトを眺めながらとぼとぼと歩き始めた。
路面に落ちている煙草が、赤く見えた。
黄色い電柱の下には紫色の草。
電柱と電柱をつなぐコードは緑色に見える。
あーあ。
おかしいな。
ゆっこがくれたネクタイの色は、こんな。
こんなに真っ黒だったか。
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