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さえないと思った女の子は、つぶらな瞳を細めて屈託なく笑った。
今はそういう笑顔は見たくない。
ここでイラストをビリビリに引き裂いてみたら、どんな顔をするだろう。
無性にやってみたくなるよ。
「これは、私が一番きれいだと思っている空のイメージです」
きれいだと?
こんな濁った空のどこがきれいなんだ。
「空が好きなんですよ。自分の心を映し出してるみたいで」
自分の心を映し出す?
彼女のその言葉が引っかかって、俺は千円も払ってそのイラストを買った。
その後電車に乗っている間も、電車を降りて歩いている間も、ずっと考えた。
ぐるぐると。
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