極短編 だるまさんに足がある

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 イベントに疲れたのか、他の連中は皆、首を傾げて睡眠中。  一方、僕は、着ぐるみが型崩れしないよう、背筋を伸ばした姿勢でいなければならない。  この姿勢を維持するのはものすごく大変だ。小刻みにお尻の位置を直すも、居心地の悪さはなかなか消えない。  しかも隣に座っていたのは、「おい、動くな迷惑だ」なんてほざく心の狭い野郎。  ふざけるな、僕がどれほど苦労しているかお前は知らないんだ、その舞妓さんの衣装と交換してやるから少しは体験してみろってんだ、でもキレイだ、うなじの解れ毛が色っぽいじゃないか。  男に一目惚れしそうになってる自分に嫌気がさした。  僕は姿勢の維持を諦め、とうとう椅子の背もたれにもたれかかった。
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