極短編 だるまさんに足がある

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 ありえないことが起きた。  背もたれが勢いよく倒れ、バックドアへ頭をしこたま打ちつけた。即座にドアが開き、そのまま車外へ放り出された。  幸い……なのかどうかは分からないが、着ぐるみがクッションになってくれたので、僕自身は全くの無傷だった。後続車両もいなかったので、最悪の事態も起こらなかった。  だけど、走り去っていくワンボックスの後ろ姿を見てしまえば、幸運体験は帳消しだ。  そりゃ死ななかったからいいようなものの、運転手は異常に気付かなかったんだぜ? どう考えたって普通気付くだろ?
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