極短編 だるまさんに足がある

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 走れば走るほど、何が何だか良く分かんなくなって、妙な境地に達してくる。  これがコスプレ。  これが醍醐味。  衣装は恥ずかしさから自分を解放してくれる鎧。  皆の視線を集めてこそ成立する嗜好。  たくさんの目が注がれる心地良さ……。  この日、だるまさんを着た僕がもっとも輝いた瞬間だった。  数時間後、僕は「保護」という名目で警察署に連行された。  だるまさんに抱えられる両脇はなかった。
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