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日常が戻って来て、また大学生活が始まっても、俺の頭は日に日に悟史くんで埋められて行った。
街中で、カップルや家族連れを見かけると、自分も悟史くんと堂々とデートしたり、いつか一緒に暮らしたい、などと考えるようになった。
そう。
きっと俺は冷静さを失っていたんだ。
二人の間にある多くの障害を、見て見ぬふりをしたかった。
そして、それが悟史くんにとって、重荷になっていたのかもしれない。
悟史くんは、それまでいつも俺の為に休日を使ってくれていたけれど、自分の時間が欲しいと言い出した。
今、思えば、ごく当たり前のことかもしれない。
けれど、俺には、悟史くんに愛されている自信がなかった。
それが、言葉となり、態度となり、悟史くんを傷つけることもあった。
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