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――2026年11月2日、東京都あきる野市、東都防衛学園、中等部。
一週間に及ぶ中間試験も終わり、東都防衛学園中等部――東防中の生徒たちは久しぶりの解放感を味わっていた。
高等部と中等部からなる私立東都防衛学園は、その校名からわかるように必修科目の中に防衛学や訓練などが組み込まれた特殊な教育施設である。
といっても、実際には世間が思っているほど特殊な人間が通っているわけではない。もちろん親族が自衛隊などに所属している生徒はいるが、ほとんどが一般家庭の子供、それもどちらかというと社会的地位が高い家庭の子供が多い。
それは当校の先進的なカリキュラムが人気を博しているからだ。
例えば、成績は単位制であり、生徒たちは一週間の時間割を自分で自由に組むことができる。
専門的な分野で優れた能力を持つ者は中等部生であっても高等部の講義を受けることができる。ただしその場合、上級生と同じ評価基準で採点されることを心にとめておかねばならないが。
また自由に授業を組めるといっても学習指導要領に則った必修科目をきちんと履修しなければ中等部であっても留年があり、週二回の訓練だけは指定の時間に受講する必要がある。
そのような特色により育まれる自立性と、全寮制という集団行動の中に置かれることで培われる規律は、日本の未来に不安を感じる大人たちにとってたいへん魅力的であった。
今の日本に蔓延する、自分たちではどうしようもないという空気の中で、時代の主役を担っていかなければならない子供たちに大人が求めたものの一つは、様々な意味での「強さ」だったのかもしれない。
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