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「あの愚鈍な警視庁が動くのを待つのか?」
「自衛隊に要請は……」
「政府はこの事態を把握しているのか」
教師たちが議論をかわす中、ニュースが特番に切り替わり、グローバルセキュリティ研究所が映し出された。
〈えー、こちらグローバルセキュリティ研究所前――〉
そのとき、真帆のスマートフォンが振動した。
〈信じてもらえましたか?〉
Xだった。
〈何をしたの? 柊人くんは無事なの?〉
〈私は何もしていません。遠藤柊人は無事です〉
真帆はおもわずほっと息をついた。いつの間にか呼吸を忘れていた。しかしXの言葉を鵜呑みにするわけにはいかない。
〈どうしてわかるの? 君はなんなの?〉
〈Xと呼ぶ約束ですよ、遠藤真帆〉
頭が熱くなった。しかし真帆は感情をコントロールする術に長けていた。今必要なことはなんだ?
Xはいったい何者なのか。そんなことより重要なことがあった。真帆は一度間をおいて、メッセージを打つ。
〈X教えて。どうすれば柊人くんを助けられるの?〉
微笑むような間をあけて、返事が返ってきた。
〈それが正しい質問です遠藤真帆。それでは話を始めましょう〉
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