――2026年11月3日、財団法人・グローバルセキュリティ研究所

5/5
前へ
/48ページ
次へ
「あの愚鈍な警視庁が動くのを待つのか?」 「自衛隊に要請は……」 「政府はこの事態を把握しているのか」  教師たちが議論をかわす中、ニュースが特番に切り替わり、グローバルセキュリティ研究所が映し出された。 〈えー、こちらグローバルセキュリティ研究所前――〉  そのとき、真帆のスマートフォンが振動した。 〈信じてもらえましたか?〉  Xだった。 〈何をしたの? 柊人くんは無事なの?〉 〈私は何もしていません。遠藤柊人は無事です〉  真帆はおもわずほっと息をついた。いつの間にか呼吸を忘れていた。しかしXの言葉を鵜呑みにするわけにはいかない。 〈どうしてわかるの? 君はなんなの?〉 〈Xと呼ぶ約束ですよ、遠藤真帆〉  頭が熱くなった。しかし真帆は感情をコントロールする術に長けていた。今必要なことはなんだ?  Xはいったい何者なのか。そんなことより重要なことがあった。真帆は一度間をおいて、メッセージを打つ。 〈X教えて。どうすれば柊人くんを助けられるの?〉  微笑むような間をあけて、返事が返ってきた。 〈それが正しい質問です遠藤真帆。それでは話を始めましょう〉
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加