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オースティンは待ってましたとばかりに組んでいた足をといて身を乗り出した。
「奴らやっぱりフロギストンの動きを知っていたみたいですね。対応が良すぎるんですよ。もうフランス本社からエージェントが日本に派遣されてますし」
「人数は」
「三人みたいですね。男二人、女一人」
オースティンは自分のスマートフォンからルークのタブレットへと情報を転送した。三人の顔写真とプロフィールが表示される。「ほう」とルークが呟いた。
「仕事がはやいな」
「よく言われます。見た目でちょっと頭が足りないように思われがちなんですが、わりと優秀ですよ、俺」
オースティンはそういって笑った。ルークは三人のプロフィールに目を通し終わると、先ほど組織から届いた新たな情報をオースティンに転送した。
「もう一人動きを把握しておくべきターゲットが増えた。そっちを任せていいか」
オースティンは「へえ」と呟いてにやにやした。
「まだ中学生じゃないですか。そういう趣味じゃないんだけどなあ」
ルークはため息をついた。
「あのアイとかいうやつがそいつにも死なれては困ると言っていた。まったく、面倒なミッションだな」
「まったくです。俺達まで正義の味方みたいになってきちまった。ま、金がもらえればなんでもしますけど」
テレビでは未だ続くグローバルセキュリティ研究所の立てこもりに対して何もできていないという中継をしていた。
「それにしてもこの国の組織はことごとくだめになりましたね」
「責任を放棄した組織など個人の弊害でしかないからな」
ルークはテレビを消した。
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