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テスト明けの月曜日ということもあり、どこか気が抜けた午後の授業。下を向いて舟をこぐ生徒が続出する中、遠藤真帆はひとり上を向いていた。
また洟をすする。昨日から止まらない。ポケットティッシュはさっきの授業で打ち止めだ。
後ろに揺れるショートボブの黒髪。細い髪が撫でる頬は、日に当たっていない病人のように不健康なほど白い。
冷たい空気が洟の奥を鋭く刺す。真帆は眉をしかめた。色素の薄い、褐色の瞳。
詰まっていないのに垂れ続けてくるさらさらの洟水が、なんとも苛立たしかった。
カーディガンの袖の中で握っていたスマートフォンが一瞬だけ振動する。
がくんと頭を落とした真帆は、画面に表示されるメッセージのポップアップを確認して面倒くさそうに片眉を歪めた。
今日の放課後までに提出する必要のある簡単なプログラミング課題へのアドバイスのお願い。
それは「Scratch」という子供向けプログラミング言語であり、元「ハッカー」である真帆にとっては幼稚園児の積木レベルのものだ。
実際この言語は積木のようにアイテムを組み合わせてプログラミングする。
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