壊された扉

7/14
前へ
/28ページ
次へ
ふうっと息を吐いて ヘッドレストに頭を預けた 彼女の姿に痛む胸。 冬木部長の マインドコントロールから 抜けさせるために 一時的に支配しただけで あなたとの未来など ないと言い切った俺に 向けられた哀調を帯びた瞳で さらにその痛みが強くなる。 「俺が本社にいるのは 半年だけです。 半年過ぎたらまた香港に戻ります。 俺が日本にいる間に 冬木部長を忘れて 本当に愛すべき人を… 未来を見つけて下さい。 つまり俺はあなたが… 前島香織というプランナーが 自分の世界を広げるための ステップだと思えばいいんです」 つらつらと述べながら 俺の心は悲鳴をあげていた。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3673人が本棚に入れています
本棚に追加