第一話

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「拓哉」 「なに」 「あの、夕飯が出来ましたよ。」 「ああ、うん。」 拓哉を真っ直ぐ見詰めながら言うと、彼は愛犬のハクを見つめたまま返してきた。 その声もどこか気が抜けたような、無関心な感じがする。 …..少し位こっちを向いてくれてもいいんじゃないだろうか。 なんて思いながらも彼は、私を見ない。 まるで、私なんていないかの様な、ちらりとも振り向かない。 本当に私の声が聞こえてるのだろうかと心配になる。 そして、さっきより小さな声で、 もう一度彼の背中に声を掛けた。
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