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「仕事する事にしたの」
何日ぶりに座った食卓、それと妻との会話
彼女との距離が三年の月日でガラリと変わった
詰めれない距離
それを努力しようとしなかった俺のせい
互いに傷つき、自分の苦しさで押し潰されて
彼女を支えてやるどころか逃げ出してしまった報い
あの時、ああしていれば…
あの時、こうしていれば…
何度もした後悔も、いつの間にか無感情になって
いつからか彼女の視線が
彼女の存在が
怖くなった…
たった独りきりの彼女を置き去りにし
総てを仕事のせいにして
彼女と向き合うのをやめてしまった
本当は彼女の悲しさを、怒りをぶつけて欲しかった
例え罵られても、その総てを俺にだけは見せて欲しかった
俯むいて言葉を飲み込んで
無理して笑うその顔が痛々しくて
弱みを見せない彼女に
俺も弱さを見せられなくなった
そんなのは言い訳だと分かってはいても、変えられない自分
悪循環は更に悪循環を
日に日に取り戻していく彼女の美しさ
それに嫉妬する自分
結婚する前には独り占めしていた、あの笑顔も
誰に向けられ、誰と共有するのか
こんなに愛しているのに…
当たり前だった時間は、いつの間か当たり前じゃなくなって
もう、重なり合う事もないのか
もう、俺を見てくれないのか
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