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「今日一日は入院して、明日に退院出来ますからね」
担当医が病室を訪れて、ベットに横たわる理由を告げられ
それを他人事のように冷めて聞いていた
静かな病室は私と彼の二人だけになって
「大丈夫…今はゆっくり休んで
早く元気にならないと」
パイプ椅子に座っている彼の穏やかな声
でも、それがかえって苦しくて
そんな優しくしないでと
そんな事は言えなかった
胎児の染色体に問題が有り、流産したんだろうと
そう説明は受けたが
それで総てを片付けられる
なんて、思えなかった…
あの最初に痛みを感じた時に
もっと早く、もっと自覚をしていれば
違う結果だったのかも知れない
その違う選択肢が後悔になり、苦しむ事になった
静寂を遮るように、小さめなノック音
目を赤らめた父と母
身体を気遣う言葉、私が無事で良かったと
誰もが子供の話題から避けるように
益々、弱さを見せれないと
私の中に蓋をした
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