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「遅かったな。二人とも」
花屋の前で、静也くんが仁王立ちして待っていた。
チラッと響を見て、すぐに視線を私にずらした。
「聖はそらちゃんより質の悪い酔い方するから気を付けろ?」
「……そうだね」
もう遅いけど。
「聖さんは? あの後、ちゃんと起きれた?」
「――起きて暫くは響を探してたぞ」
すると、響の目が照れ臭そうに輝いた。
「仕方ないなぁ……」
そう言って、静也くんの横をスルリと通り抜ける。
花屋はcloseの看板がかけられたままだが、奥は電気が付いている。
仕事するぐらい、回復したのかな?
ちょっと気まずいが、会いたい気もする。
「そらちゃん、取り合えず依存はしないようにな」
静也くんも店のドアを開けてくれながら溜め息を吐く。
静也くんは、本当に心配しているかのように。
「心配だよ。そらちゃんは甘え下手そうだから。
愛情向けられたら断られなさそう」
「ご忠告どうも」
「似てるよね。3人とも。愛に餓えてる感じが」
面倒臭くなりそうだなぁと、静也くんは呟くと、レジ横の皿を受けとると、すぐに帰って行った。
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