188人が本棚に入れています
本棚に追加
『似てるよね』
似てるかな?
『愛に餓えてる感じが』
確かに、私もお兄さんも満たされた時間は少ないかもしれない。
それは分かるよ。
だってお兄さんの笑顔、悲しげと言うか憂いを帯びている。
「そら?」
店の奥からお兄さんが心配そうな顔で現れた。
酔いが冷めたのか、甘えた様子は無い。
「その、すみません。僕も酔うと手がつけられなくて」
「みたいですね。びっくりしました」
そう言うと、目をパチパチさせて首を傾げた。
「僕、もしかして襲っちゃいました?」
――はい?
額に手を置いて、苦悩するポーズを取ってるけど、
『襲っちゃいました?』なんて可愛く言ってるけど、
酔って襲うなんて良くある事みたいな言い方。
つまりお兄さんからすれば、私もお兄さんに群がる女の子の一人な訳で。
「何それ。すっごく私の扱い軽くない? お兄さんにはがっかりだわ」
フンッと横を向いて、階段を上る。
本っ当に馬鹿みたい。悩み損だわ。
「わわ! 違いますよ! そんなそらを軽くなんて。ただー……」
そう言って私の腕を掴んだ。
最初のコメントを投稿しよう!