188人が本棚に入れています
本棚に追加
「その……。一緒に住んでくれますか?」
まだ諦めてなかったのか。
ただ何と言っていいのか分からない。
お兄さんの横は好き。
この花の香りも好き。
でも、
『俺、……バイかもしれない』
「そら?」
『聖さんが好きなんだ』
こんなのって無いわ。
「ありがとうございます。でも明日には一人暮らしのマンションに戻る。そしたら、もう此処には来ない」
「えっ」
「私の荷物も、処分しちゃっていいから」
そう笑うのがやっとだった。
息が詰まるようなこんな場所、もう居たくない。
「そうですか……。そらも僕の傍は嫌ですか」
するりと腕を離された。
見上げた悲しそうなお兄さんに胸が痛む。
でも苦しいんだもの。
「響が居るでしょ?」
空気を変えようと冗談で言うけど、悲しみに沈んだままの表情でお兄さんは言った。
「響は手放せない大切なパートナーですが、
僕は彼だけでは満たされないんです。常に餓えてます」
何に?
『愛』ですか?
『性欲』ですか?
大切なパートナーって言い方も気になる。
お兄さんは、響が自分の事、好きって知ってんの?
最初のコメントを投稿しよう!