第2話

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ううん。踏み込むのは止めよう。 関わらなかったら、またこの街から離れたら、 この花の香りもきっとすぐ忘れられる、から。 悄気るお兄さんの背中を見ると、気持ちが揺らぐ。 けど、お兄さんは追いかけて来ない。 こっちがしがみつかなければ。 「聖さん、パスタゆで上がったけど、仕事は?」 「――今日はもう休みます」 「そう? なんで元気無いの? デザートに桃剥こうか?」 エプロン姿で玄関を開けた響は首を傾げた。 お兄さんを心配げに伺うが、お兄さんは潤んだ瞳で響を見た。 「響は離れないで下さいね」 寄り添うように、響のエプロンにしがみつくとそう甘えた。 それ、わざとじゃないの? って思うほどに。 「馬鹿みたい。ご飯、静也くんの店で食べてくる」 こんな空間に耐えれなくて、私はお兄さん宅から飛び出した。 飛び出した先が向かいなのは笑えるけどimage=477701449.jpg
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