第2話

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「紅茶のお代わりは?」 「……欲しくない」 喫茶店の閉店作業をしつつ、barの準備中の忙しそうな時間に、夜ご飯をご馳走になっていた。 茄子とトマトのミートソースパスタ、サラダ、食後の紅茶。 静也くんは何も言わず出してくれた。 距離をやんわりと置いてくれるこの空気が、心地よかった。 「明日、出ていこうと思う。もう帰って来ないかも」 ティースプーンを、意味もなく指揮者のように振りながら言った。 やっぱり都会に出て、もうちょっと揉まれて、30歳前に結婚するか、男顔負けに出世するぐらい働こう。 そんな現実離れした事を考えながら。 「そらちゃんにも、聖の愛は重荷になるかぁ」 「いや。それが原因じゃないの。お兄さんなら婚約しても良いかも、と逆上せたりしたわよ。でも」 「響?」 静也くんは苦笑したから、多分私との関係を知ってるんだろう。 「お兄さんは知らないみたいね」 「ああ。でもあの当時、そらちゃんに彼氏ができたみたいって教えたら、結構傷ついてたよ」
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