第2話

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甘い香り、鼻に当たる微かな吐息。 ちゅっと音を立てて唇を離されると、お兄さんは笑って頬を指で触る。 「そら、だ」 ……今、私だって気づきましたよね? 「嬉しい。綺麗です。そら」 はらりとはだけたブラウスが私の体に降りかかる。 甘い香りに、金縛りにあったように身動きがとれない。 お兄さんが私のエプロンを簡単に脱がせていく。 ――慣れてる。 エプロンを足から剥ぎとると、ゆっくり太股をなぞった。 こんなに温かい体温を感じるのは、響だけだと思っていたのに。 愛されてるような錯覚に陥るような、優しい手つき。 流されそうになる……。 ランドセルを背負ってた頃から、綺麗だと、ずっと憧れていたんだから。 その憧れのお兄さんが、私を抱き寄せているんだ。 観念したように目を閉じると、タイミングよく階段を上る音がした。 「ただいま―! 聖さ……ん!!!」 フランスパンが顔を出す紙袋を片手に、響が入ってきた。 「うわぁぁぁ!!」 真っ青な顔になりながら。
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