第2話

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話し込んでいたら、柚の上司が補助に来てしまった。 柚はにこやかに笑い、余裕そうに言う。 「いえ。住民票が此方に無いので手続きできないから書類だけ記入して貰ってます」 ……柚、昔から柄は悪かったけど、要領は良かったもんね。 だけど仕事中に邪魔したらいけなかった。 時間稼ぎにもならず、渋々と響がいる車へと戻った。 煙草……辞めたんだ。 車で待ってたり、海でデートする時は必ず吸っていたのに、車に持たれて此方を見る響はスマホをいじってるだけ。 此方に気づかないぐらい携帯を弄ってる。 ……無視して一人で帰ろうかな? お兄さんの居る花屋に。気まずいけど。 そりゃあ26にもなれば、あんなキスやら体の関係やら、 ……響しか経験無かった。 しかもいつも響任せだったから、どうして良いか分からないし。 あんな綺麗なお兄さんに体を見られるなんて想像できない。 適当な下着だったし、処理も何もしてなかったし。 あのクソ響に止めて貰って、逆に助かったかもしれない。 「どこ行くの? 俺、此処に居るんだけど?」 だからー!! くそな別れ方しても、元カレは元カレなんだから、 あんな場面見られて、気まずいんだよー。
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