第2話

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「じゃあどこに行くって言うの?」 サングラスに、ニット帽まで被っちゃって。 昔は全然変装してなかったのに、自意識過剰野郎。 「海、行こうか?」 「行かない。絶対行かない」 「――色々話すから。だから、行こ?」 ねだるように私に首を傾けて喋る。 ――こんな響なんて知らない。 いつも自分勝手で、ぐいぐい引っ張ってくれて、 包み込んでくれたのに。 なのに、今は違う。私に弱いところを平気で見せてくる。 こんなの私の知る響じゃ、ない。 「いいわよ。でも、簡単に許すと思わないで」 睨み付けながら車に乗り込むと、 響は悲しそうに瞳を揺らした。 そして無言で響も乗り込み、恋人だった時によく行ったあの海を目指した。 香水も変わってるし、全身ブランド品じゃなくなってるし、ちょっと痩せた気もする。 いつも太陽みたいに笑って格好良かったのに。
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