第2話

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「何を言っても……信じられねぇよな。はは」 首に手をやり、下を向く響。 背中を向けて、此方を向こうとしない。 こっちを向かせたくて、あの背中を蹴りたくなる。 「私の前に居るのが、本当の響?」 「?」 「昔、私を抱き締めてくれた響は偽物?」 私への気持ちも偽物? そう喉から出かかって、止めた。 まるで、まだ響を引きずってるようで、惨めになる。 「気持ちは嘘じゃない。騙して傍にいるのが辛くなったのもマジ」 「ふぅん。じゃあ、ちゃんと目を見て言って」 自信満々で、いつも格好良くて、ちょっと俺様で、 でも優しくて。 モデルなのも自慢だったのも本当。 だから情けない声でお兄さんお兄さんと呼ぶ響が信じられない。 「黙って消えて悪かった」 「それだけ?」 「……何だよ」 「なんでお兄さんのペットしてんのよ」 ちょっと皮肉混じりに言った。 「ペット……」 「あら。違った?」 ちょっと肌寒くなって海を見た。 丁度、夕日が沈みかけている時だった。
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