何かの始まり

4/17
前へ
/55ページ
次へ
次の日 せっかくの休日を潰されるのは癪に触るが何かしら事件の香りがするので 不謹慎ながらワクワクしていた 愛車に跨がり佐伯(ポンコツ)家へ向かう 待ち合わせ時間の昼12時の少し前に到着 そこには佐伯の両親らしい男女が居た 事情を話して立ち合わせてもらう許可をとっていたら 初老の男性が近付いてきた 「どうも お待たせしました 大家の高橋です」 そう言うと鍵を開け中へ入れてくれた お世辞にも綺麗とは言いがたい散らかった部屋 点けっ放しの電気と テーブルの上にはまだ食べ掛けのコンビニ弁当とペットボトルのお茶 車と家のものであろう鍵や財布が置いてあった ついさっきまで誰かが居たような雰囲気を醸し出す部屋に少々 違和感を覚えた まず第一に部屋の電気を点けっ放しで財布も持たずに姿を眩ませた事 第二に鍵を開けて中へ入ったのに家の鍵は室内にある事 しかし携帯だけは探しても見つからなかった 密室から携帯と本人だけが消えた そんな印象を覚え 本気で事件性を感じた俺は後は任せて一足先に帰らせてもらった 少し街をブラついて 家に着くともう夕方の5時を過ぎた頃 休日が潰れてしまった事を考えながら先ほどの事など忘れてゲームアプリを起動させた 忙しない日常を忘れさせてくれる唯一の楽しみが携帯ゲームなのだ つい2週間前にダウンロードしたゲームだがそろそろ飽きてきたので新しいゲームを探すことにした
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加