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† 竜になる †
朝から降り続く雪はいっこうにやむ気配がない
「銀ちゃん、こんなに降ると積りそうね、また明日も雪掻きお願いできるかしら」
と美奈子は甘えた声でお酌をする
「ああ任しときな、それより小夜ちゃん心配だな」
小夜子が置き手紙を残し家を出てから、もう1週間ほど経つ
「大丈夫よ、そのうちひょっこりと帰ってきますよ」と言って立ち上がり雪見障子を開けて外を覗いた
銀次も立ち上がり美奈子の横に並んで覗いて見る
外灯に照らされた雪が舞台装置のように華やいで見える
背中を丸めて道歩く人の姿が映画のワンシーンのように、降りしきる雪に物語ひとつ置き忘れ、消えていく・・・
答えはひとつではない
娘よ
あなたの愛に咲きなさい
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